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NPO法人タブララサ

瀬戸内国際芸術祭 豊島編

10月も残すところ1週間!

瀬戸内国際芸術祭もあと1週間で終わってしまいます。

週末日曜日はラサメンバー4人で豊島へ。

17日に豊島美術館がオープンした影響もあり、かなりの混雑とのうわさ。

まだ薄暗い6時45分のフェリーで出発しました。



島に行くたび、島時間に慣れてきたというか、、、。

今回写真はほとんど撮っていません。

アートを巡って島を歩く。

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途中、島のおばちゃんがはなしかけてくれたり、
バスの運転手さんに、停留所じゃないところで乗せてもらったり、
島のおじちゃんが一生懸命行列の整理をしていたり、
そんな出来事が、なぜか心にキュンときたりして。

自分の住んでいる場所以外で、やさしくしてもらったら、
「あぁ、自分ももっと人にやさしくならなきゃ」
っていう思いになります。

アート作品にいてくれる「こえび隊」の人たちは、
ボランティアとは思えないくらいの素晴らしい対応。
自分が制作に関わった作品の説明や、こぼれ話などしてくれて、楽しませてくれます。
このこえびさんあっての芸術祭だと思います。

あと1ヶ月で終わるなんて寂しいっ。

この数カ月の島通いで、私の心は少しだけ垣根がなくなったような気がします。

芸術祭を瀬戸内でしてくださって、本当に感謝。

まだ島に行かれていない方は、あと1週間の間に是非。
きっとステキなお土産を持って帰れますよ

河上


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  1. 2010/10/25(月) 18:44:30|
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瀬戸内国際芸術祭 小豆島編

7月から始まったの瀬戸内国際芸術祭も、今月で終わり。

先日の3連休の最終日に芸術祭の会場のひとつ、小豆島へ渡ってきました

小さい頃から家族で小豆島霊場八十八カ所を廻っているという、
メンバーためちゃんの案内付で、アートとお勧めのお寺を巡る一日。
夜明けごろの6時過ぎの船でいざ出発

朝の空気は気持ちいい

島に着いたら、まず島の北東にある「山の観音」へ。
その1カ所目のお寺の奥の院的な場所が、今回の小豆島の中で最高に素晴らしい場所でした。
20分ほど歩いて登った山の上で出会った滝は、まるで水墨画のようで、、、。
小さな祠のあるその場所で、とても写真を撮る心境にはなりませんでした。

ところどころ、形の不揃いな石を重ねて作られた石段の山道を降りていると、
他に人工的なものは何も見えず、数百年前の日本にタイムスリップしたかのような
気分。

そんな不思議な感覚のまま、数件のお寺を巡った後、
午後からは芸術祭のアートがある肥土山・中山へ。

わらで作った大きなマンモスがいたり、ところどころにしかけがしてあったり。
その中でも良かったのは、やはり昔から残っている農村歌舞伎の茅葺の建物。
それと、バンブーハウス。

竹のお家。
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約6000本の竹を使ったという作品。
たくさんの人で満員状態でしたが、風通りが良くて涼しい。
素足になって床にごろーん。ひんやりとして気持ちいい感触。
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くるくると曲げられたり、編まれたりして自由自在な竹。
家まで作れるのだから、竹で作れないものはなさそうです。

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お彼岸からだいぶ過ぎて咲いた彼岸花の咲く農道を歩きながら、
私たちは、どこで「昔」の良さを忘れてしまったのかな、、、と考えました。
自分たちの食べ物をつくり、自然な素材で道具を作り、
みんなの楽しみのために、農村にも歌舞伎小屋をつくったりしていた「昔」です。

私自身、昔の良さを知っているはずもないのですが、
物をもっと大切に使うとか、感謝するとか、
憧れるもっとシンプルで丁寧な生活は、「昔」の中にあるようです。

何百年も前には戻れなくても、今まで大切に守られてきたものを無くさないよう、
今の生活にも役立てていくことが必要だな、、と思います。

島や田舎と呼ばれる場所に行くと、その「昔」に触れやすいです。

アートというキーワードで島に人を呼び寄せ、
現代アートを見るだけではなく、自然や歴史にまで触れさせてくれる瀬戸内国際芸術祭。
残りあと一カ月をきりましたが、時間を作ってまた島をまわろうと思っています。
次は豊島の予定。

小豆島のアートを見に行ったら、お寺にも行って小豆島の歴史を感じて下さいね。


河上

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  1. 2010/10/14(木) 02:08:06|
  2. 瀬戸内
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瀬戸芸で犬島へ

行ってきました、犬島
7月23日(金)、維新派の犬島公演に合わせて犬島上陸です。
100723瀬戸芸@犬島1

瀬戸内国際芸術祭2010で唯一の岡山の島。
ずーっと維新派こえびとして犬島に通っていたので、犬島へ行くこと自体に新鮮さはあまりなかったけど、
林原モータープールに集合し、バスに揺られ、新岡山港でフェリーに乗り換えていく犬島というのは、旅の気分を演出してくれます。
まさしく非日常感。

この日はラサメンバー4人と僕の会社の先輩2人の6人。
会社のゆるきゃらも連れていきました。
100723瀬戸芸@犬島2

犬島に着き、最初に維新派公演までの過ごし方などの説明を受けて解散。
最初に向かったのはtrees犬島店
犬島で採れたシソを使ったかき氷をいただく。
100723瀬戸芸@犬島3

さっぱりしてておいしい。
犬島時間も開催されてました。

treesでのんびりしすぎた後には、妹島和世×柳幸典×長谷川祐子による「家プロジェクト」へ。
犬島の島内に平面的に展開するプロジェクト。今回はその第1弾ということで東屋と3つの家プロです。
今後、10くらいに増えるそうです。楽しみ。
100723瀬戸芸@犬島4
柳幸典 I邸「眼のある花畑」2010年 設計:妹島和世

花々の植わり方が印象的。大きな眼といい、花々といい、何とも直截的。
平らな地面に無造作にかつ垂直に植えられている花々(というか緑)の様子は、
I邸の大きな眼にじっとみつめられているようで、ちょっと怖さを感じました。
花や緑と暴力性の対比かな。いずれにしても気になる作品でした。


100723瀬戸芸@犬島5
「中の谷東屋」 設計:妹島和世

空と屋根がひとつながりのようになってて、屋根に頭をゴツンとぶつけてました。
痛そうだった。。

100723瀬戸芸@犬島6
柳幸典 S邸「蜘蛛の網の庭」2010年 設計:妹島和世

一番、キレイ。風刺があるんだろうなあと。
アクリルの建物での作業が暑くて大変だったという柳さんの言葉が頭を離れません。

犬島に溶け込むアート 「家プロジェクト」(山陽新聞)
ムービー:瀬戸内国際芸術祭2010「家プロジェクト」(excite.ism)

続いて、2度目の精錬所。前回は確か2008年の夏。
公園の上から維新派の野外劇場を見るべきだったのに、すっかり忘れていました。
屋台村が気になったからかな。。
こればかりは心残りです。

さて、いよいよ維新派!


(金田)
  1. 2010/07/26(月) 00:17:02|
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維新派、犬島公演始まってます。

7/20(火)から8/1(日)までの12日間(7/26は休演)、
大阪を拠点とする「維新派」の舞台が岡山市の犬島で行われています。

自分たちで舞台を行う場所を探し、その場所で生活をしながら自分たちで壮大な野外劇場を作り、
終わると瞬く間に片付けて去っていく。

そんな維新派の姿を指し、蜃気楼劇団と呼ばれています。

今回の犬島公演は、〈彼〉と旅をする20世紀三部作#3であり、
南米、東ヨーロッパと続いた最終章。
「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」
というタイトルで、名前の通り、アジアを舞台とした作品です。
今年の12月に埼玉公演が決まっている作品で、今回の犬島が初演。
そして野外劇場で行うのはこの犬島だけだそうです。

最終的に丸太4000本余りを使って作られて野外劇場は、
空から見ると大きなトカゲのような形をしています。
維新派史上最大のセットと予算規模と言われており、
今後、これほどすごい維新派を見ることはできないのではないかとも。

7月19日(海の日)に始まった瀬戸内国際芸術祭2010のメインイベント。
維新派名物の屋台村も賑わい、精錬所を始め、妹島和世、柳幸典、長谷川祐子による家プロジェクトもあり、
そして週末には10年以上も前から犬島で活動を続けてきた犬島時間がありと、
犬島がとても盛り上がっています。


野外劇場はアジアの群島をイメージした舞台で、
精錬所の敷地にあるカラミレンガとの相性はとてもよく、日暮れとともに始まる舞台は
野外劇場ならでは深みや奥行きを感じさせるものになっているようです。

6月中旬からこえび隊の一員として、維新派こえびとして活動してきた身としては待ちに待った公演。

いろいろとPR映像もできてます。
土日はすでに完売です。
平日に、お休みを取れる方は休んででも行く価値ありです!



維新派によるPR映像


こえび隊による維新派PR映像

  1. 2010/07/22(木) 15:31:56|
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瀬戸内国際芸術祭 前夜祭

7月18日(日)
瀬戸内国際芸術祭の前夜祭に高松に行ってまいりました!

こえび隊として、犬島の維新派の舞台のPRがお仕事。

高松駅付近は、水色と白のしましまの芸術祭ののぼりがたくさん。
いよいよ始まるんだーとテンションが上がります。

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そして、日が暮れると、アーティスト椿昇さんの指導のもと、
町の人たちが作り上げた「うみあかり」に灯りが点灯。
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ぼやけた写真でごめんなさい、、、。

広ーい芝生広場に集まったうみあかりたち。
楽しい形がいっぱいで、夜の遊園地。
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このプロジェクトに参加した市民の方たちが、
ひとりひとり、提灯のような小さなうみあかりを手に持ち行進。

1,000人くらいいたのではないでしょうか。

町をあげて参加しているんだな~ということが伝わってきました。

そして最後はこの演出。
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何やらわからないでしょうが、、、
これはシャボン玉。
大巻伸嗣さんによる演出です。

大量のシャボン玉を発生させる機械、というのがあるのです。

あっという間の前夜祭。
報告によると、約5,000人のお客様がいらっしゃったそうです。

維新派のPRでいろんな方とお話していたら、
関東から来たオシャレな若者たちがたくさんいました。

やっぱり向こう(都会)では話題なんだ~。

いよいよ、瀬戸内国際芸術祭が始まります!!
  1. 2010/07/20(火) 13:27:12|
  2. 瀬戸内
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維新派・松本雄吉「風景としての劇場」

7月2日(金)に岡山のNPO法人アートファーム
の創立20周年プレ事業である連続講演シリーズ

舞台芸術――地域との対話

の第1回目が開催され、演出家で維新派主宰の松本雄吉さんが話をされました。

風景としての劇場 ~地域とつながる野外劇場のチカラ~

「世界から注目される野外劇集団・維新派を主宰する松本雄吉氏が、
地域の人々や風土と関わりながら野外劇を成立させていくプロセスを解説する。
併せて、7月20日から岡山市犬島で「瀬戸内国際芸術祭」として開催される
スペクタクルな野外劇公演についても抱負を語る。」


■劇場はあるものではなく、なるものである
維新派は一貫して、その場所に見合った舞台を作ってきた。
「劇場はあるものではなく、なるものである」との持論は、
まさに演劇が空間芸術であると同時に、時間芸術であることから見えてくるもの。

それはいつも、劇場はいかに可能か?という問いとともにあった。
CGが使えるわけでもなく、生身の人間が観客の目の前でするものだから、当然限界がある。
21世紀の中頃には演劇は消滅するのではないかとの危機感を持って取り組んでいる。

■観客と、風景との出会い
そこで大切なのは、観客との出会い。
一方通行では劇場は成り立たない。
それと、風景との出会い。

風景を劇場化する。
風景の中に劇場を置く。

この2つのアプローチでやってきた。
風景の中にいると、そこにちょっとだけでも何かを付け加えたくなるのだと言う。
そこへ誰かが立っている風景を見たい。人の気配。

1889年の大洪水で流された熊野本宮がかつてあった場所に立つと、
そこには流されてしまった神社がそこにあったという場の空気、存在感を感じた。
そんな場所に舞台を作っても、「似合わない」し「おこがましい」と思ったのだと。
こちらは風景を劇場化した事例なのでしょう。

■維新派はよそ者、よく言えばまれ人
全国各地、世界中で公演をしている維新派は、
ふらりと立ち寄った場所からインスピレーションを受け、
そこで舞台を作ることへと動いていく。
そこへ住むものとしてでなく、よそ者として風景を見る中での発見。
当然、地元の人が見ているのとは違った見方。

■呼吸機械
〈彼〉と旅する20世紀三部作#2「呼吸機械」は琵琶湖が舞台だった。
琵琶湖のそばの公演予定地を見に行ったときに、
たまたま見えた琵琶湖の風景がきっかけで、舞台を琵琶湖に変えて開催した。

琵琶湖にヨーロッパの歴史を見れないか?
日本の琵琶湖をヨーロッパにしやがって、と言われもした。
ただ、それもギャップを語り合う楽しさであると。

その一方で、ある人は、(琵琶湖に対して)新しい解釈を与えてくれて、奥行きができたと言った。
類型的でなく、個人的な視点で琵琶湖を見てくれたことが嬉しかったと。
調べてみると、琵琶湖にも血の歴史があった。昔は海賊だらけだった。
今はロマンチックなものとしてある琵琶湖にもそんな歴史があったことが明るみになる。

■2002/2010
松本さんは熊本県天草市の出身。
天草市長と話したときに、天草の住民が自分たちが島に住んでいることを忘れており、
市町は自分のすべき仕事は、住民が島に住んでいることをもう一度思い出させることだという話をされた。

こんな話をしたのは、カンカラ公演をした2002年と今回の2010年で、
犬島への思いはどう変わったか?という会場からの質問による。
前回、犬島でしたときよりも、多くのことを感じれるようになった。
島の人の発した、どこが島やら岬やらという言葉を、好きなんですと言いながら引用するなど、
その心の変化を素直に語っている様子に好感が持てました。
具体的な変化として、今、犬島を絵に描けと言われれば、
以前よりよりよく描けるようになったという説明はとてもわかりやすくて感心。

■「まっちゃん、ずるいなあ」
維新派は蜃気楼劇団と呼ばれもする。
何もない場所にあっという間に劇場や屋台を作り、
その土地の中で100人に及ぶ人たちが住民とともに生活を送り、
舞台が終わると、作るのの倍以上のスピードで劇場を解体し、その場からいなくなる。

残らないからできる楽しさがある。
建築家の安藤忠雄さんからも「まっちゃん、ずるいなあ」と言われるのだと。


■全然違うものを見ている
野外でやる面白さは、観客が星空だとか全然違うものを見ていたりするところにあるそうです。
それはいい意味でストーリーや舞台が蔑ろにされている。でもそれでいいのだと。

ishinha

台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき
瀬戸内国際芸術祭2010の中で行われる犬島公演は、
〈彼〉と旅する20世紀三部作#3です。最終章。
劇場自体が、島から島へ渡るイメージで作られているそうです。
アジアの列島。
以上が講演での話。


タブララサの中にも、
瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーターのこえび隊の一員となり、
舞台設営や小道具制作のお手伝いにと犬島へ足を運んでいるメンバーがいます。(わたしも)
犬島では7月20日から8月1日まで12日間の公演に向けて、日夜作業は進んでいるようです。
会期中はお客さんの案内や誘導などで、猫の手も借りたいくらいの大変な状況になるようです。
維新派の方々は公演があるからそうですよね。
瀬戸内国際芸術祭は瀬戸内海が注目される楽しみな1大イベント。
ほんの少しでも力になれることがあれば応援して、
この芸術祭がきっかけで瀬戸内へ来ていただく方々に気持ちよく楽しんでもらい、
瀬戸内を好きになってくれる方が一人でも増えたらいいなと思います。


瀬戸内国際芸術祭2010

維新派
こえび隊


(金田)
  1. 2010/07/04(日) 03:07:56|
  2. 瀬戸内
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伊東豊雄「瀬戸内の島でやりたいこと」

6月9日(水)に神戸芸術工科大学が行われた建築家の伊東豊雄氏の講演会を聴きにいきました。
せっかくなので、その前に三宮に寄り、アースデイ神戸2010でタブララサのリユース食器を導入してくれた矢野さんと一緒に昼食。

その後、栄町エリアなど神戸のオシャレな雑貨屋を巡り、こんな事務所だといいなと夢を膨らませました。
気に入ったのは「栄町ビルディング」。
いつかタブララサの事務所がこんな素敵な空間になればいいな。


そして目的の講演会へ。

100609伊東豊雄・講演会1


テーマは「瀬戸内の島でやりたいこと」。

しまなみ海道の大三島(今治市)に建設中の「伊東豊雄建築ミュージアム」についてのお話。
今治市の市報に詳しいです。こちら(PDF)

このプロジェクトが始まるまで大三島には行ったことがなかったそうです。
きっかけは、ところミュージアム大三島。
この小さな美術館の持ち主であった所さんが市に美術館を寄付され、今治市でその傍にもう1つ美術館を作りたいとなり、それの設計依頼が最初。
その話が最終的に今の形に。オープンは来年7月の予定とのこと。しまなみ海道を渡る楽しみが一つ増えました。

伊東さんが大三島を訪れたときの感想として、
島の方たちが振る舞ってくれた牡蠣がとてもおいしかったと話してました。
海がきれいで食べ物がおいしくて人が優しいというのは、ほんとにどこの島でも言われることです。
それがほんとのことなのでしょう。
(東京からだと)、「行くのは大変。でも行ってしまえば楽しい。」とも。

そんな前置きの後、まずこの建築ミュージアムでやりたいことを話されました。

1.展示・・・TOYO ITOとその時代
2.教育・・・若い建築家の育成、小学生の建築教育
3.まちづくり・・・今治市を考える
4.アーカイブス・・・TOYO ITOのアーカイブ作り

中でも2.教育への思いを強く感じました。
若手建築家に大学ではできないことを教えたい。
学生や子どもたちと関わり、まちのことを考える。
それを瀬戸内の今治でやりたいというのはとても嬉しい大きなことです。

伊東さんが育った長野県の諏訪で小学生と公園作りのワークショップをされたとき、
ひとりの男の子が、伊東さんにアイデアを褒められたことがきっかけで、
それ以外のすべてのことに対しても、自信を持って振る舞えるようになったそうです。
また、小さなときに自分の住む町のことを考えることにはとても大きな意味があるとも言われてました。

そして話はベルギーでのいくつかの案件へ。
木をその形態に留めず、生成する秩序として建築のモデルにできないかとチャンレジした話や、「本のまち」をコンセプトした図書館のプロジェクトの話など。

そんな経験から、海外(ベルギー)と日本では建築に対する市民の理解度が違うのだと。
ヨーロッパの人は建築を愛しているし、信頼している。
日本は「早くてキレイ」にできるけど、それは十分な議論を重ねないからではないかという言葉。

それらの経験を踏まえ、今は子どもたちと話をすることが面白いという話へ。
たった1日の関わりで、子どもたちが自信を持って振る舞えるようになった。
それだけで、10年後が違う。
そんな子が1人いるだけで全然違う。
1人でも理解のある人がいるだけで、プロジェクトが違ったものになるそうです。


100609伊東豊雄・講演会4

最後に、表題の「瀬戸内の島でやりたいこと」へ。
そこで言われたのが、伊東さんが育った諏訪湖畔とこの瀬戸内海はネガ/ポジの関係にあるということ。
閉じた湖の回りの陸地と、開かれた海の上の島という対称性。
ルーツやずっと考えてきたことが、この瀬戸内でできるのではないかという期待を持たれているのがよく伝わりました。


感想(金田)
・調べてみると、総工費のうち5000万円も、伊東さん自身が出資する。これは驚き。
・丹下健三の出身地が今治市であること。
・「本のまち」の話を通じて、事務所としてどんな風にプロジェクトが出来上がっていくのかを詳しく話してくれました。
スタッフがぱっと共有できるイメージ(=本のまち)が生まれた瞬間に、すっと進んでいくというのは、建築に限らず、どんな場面にも当てはまる大切なことだなと感じました。
・子どもと関わることは、子どもにしか考えることの出来ない発想やアイデアがあり、そのことをとても尊重していたのが印象的。
「僕らが考えて難しいことを子どもなら考えることができる」という言葉。


感想(河上)
質疑応答で、神戸芸工大の学生から質問が出ました。

学生 : 「私たちも、子供向けのワークショップをしていくつもりなのですが、
     伊東さんは、子供ワークショップの目的やゴールはどのように設定していらっしゃるのでしょうか?」
伊東氏: 「現在の日本は建築の見方が偏っていると思う。子供のうちから建築に触れることで、
      数多くの子供たちの中から、一人でも二人でも、本物の建築がわかる人間が出てくれたら
      それでいいじゃないですか。」

確実に目に見える建築を作る人が、
目に見えない、先の遠い、だけどとても希望の持てる感覚で話されることに、
心動かされました。

「20世紀の建築は、余計なものを排除したもの。
それが多数の建築物の建設に役にたってはいる。
ただ、同じような建物ばかりの中で、建物も人もうずもれてしまっているのではないか。」

「建築をもっと楽しく面白いものにしたい。」

「建築の中にいて、どうやったら外にいるように、明るくのびのび過ごせるか。」

「自然との関係を建築化する。」

「自然と一体化して、自然と交感しながら人が集まる場所。
 最低限の隔たりが建築、というのが理想。」

最初から最後まで穏かな講演会。

でも内容は研ぎ澄まされている。

日本の巨匠とよばれる人が、伊東さんのような人で本当によかった!


  1. 2010/06/10(木) 12:49:32|
  2. 瀬戸内
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